なべさんぽ

ちょっと横道に逸れて散歩しましょう。

サンタクロースは『いない』のか?

 もう12月で、あと少しで今年も終わってしまいます。私はこの1年はなにもしてこなかったような気がしておりますが、皆さんはいかがでしょうか。充実した1年でしたか?


 今回の話題は
「サンタクロースは『いない』のか?」
です。

 

 12月25日には「クリスマス」というイベントがございます。この日はイエス・キリストの誕生日で、キリスト教圏の国々では家族と共に神様に祈る日だとされています。日本ではなぜか恋人と共に過ごす日ということになっておりますが、キリスト教圏だろうと日本だろうと関係なく子供たちにとっては「サンタクロース」に貰えるプレゼントが大事でしょう。


 「サンタクロース」はクリスマスの夜に世界中の子供たちにプレゼントをくれるという赤い服を着た太ったオジサンです。世界中の子供に分け隔てなくプレゼントをくれる人がいるとはステキな話ではありますが、そんな奇特な方はそうそういるものではないので、子供たちの間ではその実在がしばしば疑われます。
「サンタクロースは本当は存在しないのではないか?プレゼントを持ってくるのは実は親で、親が自分のことを子供だと思って騙しているのではないか?」
と。先日どこかの神父さんだか牧師さんだかが「サンタクロースはいない」と子供に言い放って謝罪に追い込まれていましたが、それほど子供にとっては重要な問題なのですね。


 サンタクロースが「いる」と信じる子供と「いない」と考える子供の二者に別れると思いますが、私はどちらの子供も何か勘違いをしているんじゃないかと思います。


 その勘違いとは、「現実」と「願望」を混同していることです。
 

 サンタクロースが「いない」派の言い分を想像してみます。家族でも友達でもない子供に気前よくプレゼントをくれるやつがいるわけない、人は自分の得にもならない慈善事業なんかしないものだ、もし無償でプレゼントをくれるやつがいたとして、そいつは怪しいやつだ、そんなやつからのプレゼントを期待するなんて、サンタクロースは「いる」派のやつらは幼稚だな、といったところでしょうか。
 
 一方サンタクロースは「いる」派の人の言い分はこうです。サンタさんはいるに決まってるじゃない、クリスマスにはいつもプレゼントがもらえるし、お父さんとお母さんもそれはサンタさんからのプレゼントだっていうし、疑う理由なんてないでしょう?それにサンタさんはみんなのうちにも来るっていうし、先生たちもいるって言うし、絵本にもサンタさんの姿が描いてあるし、やっぱり本当にいるんだよ、と。
 

 どちらももっともな言い分ですが、相手の言いたいことを考えずに自分の言いたいことだけをわめいている点において、やはり子供の勘違いと言えましょう。

 
 「いない」派の勘違いは、「『いる』派はサンタクロースを『現実に存在する』と主張している」と考えていることです。
 サンタクロースは「いたらいいなあ…」という「願望」です。「願望」は「現実に存在しないものを求める気持ち」です。「現実」は人の気持ちに都合よくできてはいません。そのため「現実」ばかり見つめていたら嫌になってしまいます。だから辛い現実の中で前を向いていきるために「願望」が必要とされます。
 「いる」派の子供は「サンタクロースがいたらいいなあ…」と思いたい、その気持ちが大事なんだと言っているだけなんです。だから「いない」派の子供がいくら「サンタクロースは現実に存在しない」といったところで、「いる」派の子供に「現実なんて私の気持ちと関係ないじゃないの?わたしが『いたらいいなあ…』と思ったらそれは存在するの!」とはねつけられてしまいます。
 
 一方「いる」派の勘違いは、「いない」派の子供のことを「『サンタクロースがいたらいいなあ…』という願望を理解しない野暮天だ」とハナからバカにして決めつけていることです。
 「いない」派の子供は何も「こうだったらいいなあ…」という子供の願望が分からないわけでも否定しているわけでもありません。
 「いない」派の子供は「大人」を尊敬しています。そして「大人」が生きている「現実」という場所は、ボケッとしていたら騙されたり奪われたりする恐ろしい所らしい、と思っています。だから自分も「現実」に負けないだけの立派な「大人」になろうと考えています。そんな子供は「現実」に対抗できるだけの力を身に付けてからでないと「願望」を表明できません。「現実」に対抗できない人間の「願望」など、幼稚に見えるだけですから。


 
 私の結論は
「サンタクロースは責任感を持った大人が語る限りにおいて存在する」です。
 「願望」しか語らない大人は無責任です。「現実」を突き付けられると「それは俺の仕事じゃない」とばかりにケツを捲って逃げ出します。一方で「現実」しか語らない大人は、自分がなんのために生きているのかわからなくなって虚しさを感じています。
 
 「現実」と「願望」の二者択一ではなく、辛い現実を生きつつ願望を胸に抱き、少しでも実現していく、この生き方をしている大人にだけ「サンタクロースはいる」と語る資格があるのです。


 
皆さんも私もそんな大人になれることを期待して宣言したいと思います。



サンタクロースは本当にいる!